僕が受け取った印象なので、あなたとは解釈が違うかもしれません。
でも、とても感じるところのある作品です。
べつべつの道を歩くふたり、がいる。
ふたりとも、ひとりで何か答えを探している。
争いがつづく街の中を歩き、自分自身について探している。
答えを見つけることができる、答えを教えてくれる場所を求めている。
その場所へ行く道のり。
わたしが先を越されることがある。
ぼくが先を越されることがある。
長い坂道をのぼる。
歩き、歩く。
ずいぶん遠くまで来た。
答えを教えてくれる、と伝えられている場所まで来た。
そこは、地上と空のあいだの場所。
太陽がいつも照らしている場所。
おだやかな、心地よい場所。
ふたりは出会う。
ぼくはぼく、だけれど、あなたは誰。
わたしはわたし、だけれど、あなたは誰
ぼくは、あなたの知らないあなた、に気付く。
わたしは、あなたの知らないあなた、に気付く。
ふたりのこころの中に何かが芽吹く。
ひとりでいたら芽吹くことのない、何か。
時が過ぎ、そして、ふたりは街へ帰っていく。
ひとりでぼくの街へ・・・。
ひとりでわたしの街へ・・・。
読後しばらくして心に浮かんできたのは「せつなさ」でした。
二人とも一人で旅をするのですよね。
誰かと、あるいは仲間と一緒、というわけではなく…。
そして、最後も二人仲良く、というわけでもなく…。
全ての願いに応える「はっぴいさん」に会えることもなく…。
それでも、何かを得て…。
荒井良二さんは、
先日、日本人ではじめて、スウェーデン国家文化協議会が選出する
リンドグレーン文学賞を受賞されました。

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